常連のお客が、順々に傍にやってきて、小さい少女の髪をなで、肩をたたき、声をかけ
ボンボンや、チョコレートや色鉛筆など、贈り物をテーブルの上に置きます
中には、小さい古風なお針道具取り出して
「死んだ祖母の形見だけれど・・」と照れくさそうに言う人さえいます
そして、みんな、楽長に向かって頷き、自分のテーブルに戻ります
今日は、寂しいおじさん達も、やっと久しぶりで美味しい食事ができるでしょう♪
一番美味しく食べるのは、もちろん、楽長さんその人です
彼は、いつもおよそ「真の芸術家かたぎ」というものは、孤独でなければならないと、自負しており
お流れになった結婚生活を、普通の市民並になろうとした、あやまちだ、と思っているのですが
今日は、極度に「芸術家らしくなく」温かく家庭的な気持ちになっています
娘が、はにかみながら微笑んで、彼の手を取ります
そうしない、と父が逃げてしまうかと心配しているように・・・
彼は、牛の足を平らげていたのですが、肉団子を食べたかのように、ほんとに何か、かたまりが喉につかえます
つづく・・・
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